ふつうの 4 〜Mr&Mrs AKABANE 〜






 人気の無い病院の裏。赤屍医師は美人ナースに呼び出されていた。

 もじもじとナースは話を切り出す。

 「お呼び出してすいません赤屍先生。お忙しい先生を呼び出すのはとても心苦しかったのですが、でも先生が奥様と離婚されたって聞いて、私どうしても我慢出来なくて……!」

 「離婚じゃなくて別居ですよ」

 「先生、私っ……!!」

 聞いちゃいない。ナースは感極まったような声を(勝手に)あげて、いきなり赤屍に抱きついてきた。勿論彼女は赤屍先生の髪の毛が少しチリチリしているなんて気づいていない。

 「ずっと好きでした。よろしければ今夜私と…。私先生とならどうなっても……!!」

 ナースはうるっと男殺し光線を送る。赤屍はすっとキラキラ光線をよける。

 彼が1コンマも迷うそぶりも見せずに「申しわけありませんが…」と彼女の体を引き離そうと…――


 した時。上空にチラリと何かが光った。


 赤屍は物を投げるようにナースを突き飛ばす。



 どぉぉん。



 今まさに赤屍とナースが抱き合っていた場所に銃弾が落ちる。

 ひゅんと赤屍はメスを飛ばす。美人ナースは目を白黒させている。

 「なっななななに!?」

 「実はウチは、恐妻家の家風でして…」

 「はぁ??ちょちょっと赤屍先生どこにーー!?」

  ちょっと妻のところへ。答えながら赤屍医師はダッシュで病院の屋上へ向かった。






 「ちぃぃぃっ!外した!!」

 卑弥呼は悔しがっている。そりゃもう手に持った銃(銃口にはメスが刺さっている)を叩き割るんじゃないかと思うほど、男より漢らしい悔しがり方で舌打ちする。

 しかしうかうかと悔しがっても居られない。暗殺失敗は迅速な撤退が鉄則。

 卑弥呼は素早く特殊ワイヤーで出来ているポーチのベルトを引き抜いて、隣りのビルへ投げる。

 準備をと整えてビルに飛び移る直前、チラリと自分の方へ向かってくる元旦那(と卑弥呼は思っている)の姿を目に映す

 「……鼻の下伸ばしてんじゃないわよ。バーカ」

 ぽつりと一人呟いてから、しなやかにその身を虚空に躍らせる。

 赤屍医師が屋上に着いた頃には、レディポイズンは鮮やかにその身を消していた。

 

 

 

 

 

 

 続く

 

          

 

 







鼻の下伸ばした屍って見てみたいよね。

しかし短っ。